越境EC決済完全ガイド|選び方とサービス比較

越境EC決済完全ガイド|選び方とサービス比較

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越境ECを成功させるには、現地ユーザーが安心して使える決済手段の整備が不可欠です。決済方法の選定は購買率に直結するだけでなく、セキュリティやコストにも影響を与えます。本記事では、越境ECにおける決済の基本から国別傾向、導入時のメリットと注意点、最適な決済サービスの選び方までを体系的に解説します。

越境ECの決済とは

国をまたいで行うオンライン販売において、決済の設計は信頼獲得と売上最大化に直結する要素です。ここでは、越境ECにおける決済の基本構造と、その役割、自社ECとモール型との違いを確認していきます。

決済フローと役割

越境ECの決済は、ユーザーが注文完了後に安全かつ確実に支払いを済ませ、販売者に入金されるまでの一連のフローを指します。この中には通貨換算、課金承認、決済完了通知、資金移動など複数のプロセスが含まれ、いずれかが欠けても取引の信頼性が損なわれます。

また、国際取引では通貨・言語・法制度の違いによるトラブルも想定されるため、決済サービスは単なる支払い手段にとどまらず、購買体験そのものを支えるインフラといえます。

自社ECとモールでの違い

越境ECの決済は、運営形態によって構造や導入の難易度が変わります。自社ECでは、事業者が独自に決済代行会社と契約し、複数の決済手段を導入する必要があります。一方で、柔軟な設計が可能であり、ブランディングやLTV施策に活かしやすい特徴があります。

モール型(Amazon、Tmallなど)の場合、モールがあらかじめ決済環境を整備しているため、出店者は煩雑な手続きを省略できます。ただし、選べる決済手段はモールの仕様に依存し、手数料や通貨対応の制約がある点は注意が必要です。

利便性とコンバージョンへの影響

ターゲット国で普及している決済手段に対応しているかどうかは、コンバージョンに大きく影響します。たとえば、中国ではアリペイやWeChat Payが主流であり、未対応であるだけでカゴ落ちにつながるケースも少なくありません。

ユーザーが使い慣れた手段で、簡単・安全に支払える環境を提供することで、離脱率を抑え購入完了へと繋げやすくなります。決済設計はUXの根幹ともいえるため、対応通貨やUI・入力ステップなどにも配慮が必要です。

越境ECの決済方法

越境ECにおいては、国や地域によって普及している決済手段が異なるため、複数の決済方法に対応することが重要です。ここでは代表的な6つの決済方法について、それぞれの特徴と導入時の留意点を解説します。

クレジットカード

クレジットカードは、越境ECにおける最も基本的な決済手段です。世界中で広く利用されており、特にアメリカ・ヨーロッパ・東南アジアなどでは依然として高いシェアを持っています。Visa・Mastercard・American Expressなどの主要ブランドに対応することで、幅広い層へのリーチが可能になります。

一方で、チャージバック(支払い取消)や不正利用のリスクもあるため、決済代行会社を通じたセキュリティ対策や本人認証(3Dセキュア)の導入が必須です。導入時には、手数料体系と決済サイクルも併せて確認する必要があります。

第三者支払いサービス

第三者支払いサービスとは、消費者と販売者の間に入る決済プラットフォームを活用する方式です。PayPalやStripe、Alipay、WeChat Payなどが代表的で、消費者は自分の口座情報やカード情報を販売者に直接知らせずに支払いを完了できます。

この方式はセキュリティ面で信頼性が高く、導入も比較的簡単であることから、越境ECにおいては導入が進んでいます。特に中国やアメリカではユーザーの支持が厚く、対応の有無が購入の可否を左右する場合もあります。

電子マネー・QRコード決済

電子マネーやQRコード決済は、主にアジア市場で急成長している決済手段です。中国のWeChat PayやAlipay、日本のPayPay、韓国のKakaoPayなど、国ごとに利用率が高いブランドが存在します。

これらの手段は、スマートフォンによる即時決済が可能で、現金を使わないユーザー層に支持されています。ただし、導入には現地の決済代行会社との提携が必要な場合もあり、導入先国の仕様を確認したうえで対応を進める必要があります。

デビット・プリペイドカード

デビットカードやプリペイドカードは、クレジットカードと異なり、即時に口座残高から引き落とされる決済方式です。後払いに不安を感じる層や、クレジットカードを持たないユーザーに対して有効な手段です。

アメリカや東南アジアでは特に普及しており、カード保有率の高い国では導入メリットが大きいといえます。導入する際には、Visa DebitやJCBプリペイドなどの国際ブランドと連携することで、対象ユーザーを拡大することが可能です。

口座振込ネットバンキング

ネットバンキングや口座振込は、ヨーロッパを中心に根強いニーズがある決済手段です。ドイツのSofort、オランダのiDEALなどは現地での利用率が高く、銀行送金による安心感を重視するユーザーに適しています。

ただし、手動での振込確認が必要になるケースや、即時反映が難しい場合もあるため、オペレーション面の整備が求められます。対象国のEC文化やユーザー習慣に合わせた判断が重要です。

代金引換

代金引換は、商品配達時に現金で支払う方式で、特に台湾・インド・中東地域などで一定のニーズがあります。カード利用に不安を持つ消費者にとっては、安心感があり購入のハードルを下げる効果があります。

一方で、物流コストや返品率の増加、キャッシュフローへの影響など、出店者側の負担が大きいため、対象国での導入メリットを慎重に見極める必要があります。

越境EC決済の各国主要サービス

越境ECではターゲット国ごとに決済事情が大きく異なります。購買行動に直結するため、主要市場で使われている決済手段を理解し、自社の販売地域に最適な対応を取ることが必要です。ここでは、中国とアメリカの決済動向を紹介します。

中国

中国は世界最大級のEC市場であり、独自のキャッシュレス文化が発展しています。特にモバイル決済の浸透率が高く、クレジットカードよりもQRコードを使った第三者支払いサービスが主流です。

代表的な決済サービスは、アリババグループの「Alipay(アリペイ)」とテンセントの「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」です。どちらもスマートフォンアプリ上で支払いが完結する利便性が支持されており、都市部だけでなく地方でも広く利用されています。

また、中国独自の銀聯(UnionPay)カードも根強い利用率があり、特に高齢層や海外決済には依然として活用されています。これらの決済手段に対応することで、購買率の向上とカゴ落ち防止に繋がります。

関連記事:【必見】中国のEC市場をチェック!情勢や参入方法を解説!

アメリカ

アメリカでは「クレジットカード」が圧倒的なシェアを持つ決済手段です。Visa・Mastercard・Amexなどの主要ブランドに対応していれば、多くのユーザーの決済ニーズをカバーできます。特に高単価商品やリピート購入を促進する場面では、カード決済の存在感は大きいといえるでしょう。

次に利用率が高いのが「デビットカード」で、リアルタイムでの口座引き落としにより支出管理しやすい点が評価されています。また、オンラインセキュリティの意識が高い米国では「PayPal」などの第三者支払いサービスの信頼性も高く、多くのECサイトが導入しています。

アメリカをターゲットとする場合は、上記3種の決済手段(クレジットカード・デビットカード・PayPal)への対応が、基本インフラといえるでしょう。対応の有無が売上に大きく影響するため、必ず事前に導入可否を確認する必要があります。

関連記事:アメリカのEC市場から学ぶ今後の日本EC市場の戦略とは?

越境EC決済の導入メリット

ターゲット国に合った決済手段を整備することで、単なる取引完了にとどまらず、売上・業務効率・顧客信頼といった複数の面でメリットが得られます。ここでは、越境EC決済の導入によって得られる代表的な4つの利点を解説します。

購買率向上と売上最大化

現地ユーザーにとって使い慣れた決済方法が用意されているかどうかは、購入完了率に大きく影響します。たとえば中国では、AlipayやWeChat Payに対応していない場合、決済離脱率が急増するケースも少なくありません。

対応する通貨や決済手段が多ければ多いほど、ユーザーの利便性が高まり、購入のハードルが下がります。特にスマートフォンでの買い物が多い地域では、ワンクリックで支払いが完了するモバイル決済との連携が売上増に直結します。

不正防止セキュリティ強化

信頼性の高い決済サービスは、国際水準のセキュリティ基準に準拠しており、不正利用や情報漏洩のリスクを大幅に軽減できます。たとえば、3Dセキュア認証やPCI DSS準拠といった基準を満たす仕組みを持つサービスを選ぶことで、トラブル時の損害を未然に防ぐことが可能です。

また、第三者支払いサービスを介した決済では、クレジットカード情報がEC事業者に渡らないため、ユーザーからの信頼獲得にもつながります。

多通貨自動決済で経理効率化

為替レートに応じて自動的に通貨換算・決済処理ができるサービスを活用すれば、経理業務の効率化が図れます。手動での通貨換算や管理が不要となり、売上の確認・帳簿記帳・税務処理などがスムーズに進行します。

また、多通貨対応により、複数国での販売でも現地通貨建てでの価格表示が可能となるため、購入者にとっても価格の透明性が高まり、信頼性向上に寄与します。

ローカルマーケティング連携

一部の決済サービスでは、現地ユーザーへのリーチを強化する広告連携やクーポン配布などのマーケティング支援機能を備えています。たとえば、WeChat Payでは決済機能だけでなく、ミニアプリや広告配信と連動したキャンペーン展開が可能です。

このように決済手段を単なる支払い機能にとどめず、販売促進ツールとして活用することで、地域特化型のマーケティング展開が実現しやすくなります。

越境EC決済デメリットとリスク対策

決済手段の整備は売上向上に繋がる一方で、コストやトラブルリスクの増加にも直結します。ここでは、越境EC決済における代表的な4つのデメリットと、それぞれのリスクを軽減するための対策を解説します。

手数料負担と利益圧縮

多様な決済手段を導入すると、それぞれの決済事業者に支払う手数料が発生します。クレジットカード決済では3~5%、第三者支払いサービスでも数%程度の手数料がかかるケースが多く、販売価格によっては利益率が圧迫される要因になります。

対策としては、主要国別に利用率が高い手段を厳選し、優先順位をつけて導入することが重要です。また、決済代行会社を通すことで複数の決済サービスを一括管理でき、契約コストや請求処理を簡素化できます。

為替変動リスクヘッジ

越境取引では、現地通貨での決済が行われるため、円建ての売上回収時に為替変動の影響を受ける可能性があります。特に通貨の変動が大きい国をターゲットとする場合、想定よりも収益が下がることもあります。

このリスクを軽減するには、為替レートの自動更新機能がある決済サービスを活用する、あるいは決済時にレートをロックできるオプションを提供することが有効です。定期的に為替トレンドをモニタリングし、価格調整のタイミングを柔軟に見極めることもポイントです。

チャージバック・不正利用

クレジットカード決済では、購入者側がカード会社に支払いを取り消す「チャージバック」が発生する可能性があります。商品の不達や不正利用と誤解されることで、事業者側が損失を被るケースも珍しくありません。

このリスクに備えるためには、不審な注文に対して追加の認証手続きを設ける、多段階認証(3Dセキュア)を導入する、配送追跡情報を確実に保存するなどの対策が必要です。また、決済サービス提供会社によってはチャージバック保険や保証制度が付帯されている場合もあるため、導入時に確認しておくと安心です。

現地規制コンプライアンス

国や地域によっては、金融・決済に関する法律や規制が厳しく、これに違反すると行政指導や罰則の対象になる場合があります。とくに欧州ではGDPR(一般データ保護規則)やPSD2(決済サービス指令)が施行されており、対応が不十分だと越境販売の継続自体が困難になります。

対策としては、現地法務に詳しいパートナー企業や決済代行会社のサポートを受けることが有効です。契約前に対応国での合法性・認証取得状況などを確認し、必要に応じて国ごとのプライバシーポリシーや利用規約の整備も進めましょう。

越境EC決済サービスの選定ポイント

越境ECで成果を上げるには、単に決済手段を導入するだけでなく、自社の商材・ターゲット市場・運用体制に合った決済サービスを選ぶ必要があります。ここでは、選定時にチェックすべき4つの主要ポイントを解説します。

ターゲット国の決済シェア

最優先すべきは、対象国でどの決済手段が主流となっているかを把握することです。たとえば中国であればAlipayやWeChat Pay、アメリカではクレジットカードとPayPalが主流です。国や地域ごとのユーザー特性を把握し、現地で信頼されている決済手段を導入すれば、カゴ落ちの防止と購入率の向上が期待できます。

選定時には、各サービスのシェア率・利用者層・デバイス対応(PC/スマホ)なども併せてチェックしましょう。国によっては年齢層や職業によって決済手段の好みに差があるため、商品属性との相性も加味して選定することが重要です。

手数料体系と決済スピード

決済サービスごとに異なる手数料体系は、収益に直結するため慎重に比較する必要があります。初期費用・月額料金・取引手数料・為替手数料のほか、キャンセルやチャージバックに関するペナルティなども事前に確認しておきましょう。

また、決済完了から実際の入金までのスピードも重要です。特にキャッシュフローが不安定になりがちな立ち上げ期では、即日〜3営業日以内の入金スケジュールがあるかを重視すると安心です。

セキュリティ標準PCI DSS

安全な取引を実現するには、決済サービスが国際的なセキュリティ基準に準拠しているかを必ず確認すべきです。とくに「PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)」は、カード情報の保護を目的とした世界標準であり、この基準を満たしていることが信頼性の証とされています。

加えて、3DセキュアやCVV認証、二要素認証など、具体的な不正防止対策が組み込まれているかどうかも選定ポイントの一つです。顧客の安心感を高めるだけでなく、トラブル時の損害リスク低減にも寄与します。

サポート体制とAPI拡張性

導入後に発生するトラブルや仕様変更に対応できるよう、サポート体制の充実度は重要な判断材料です。日本語対応の有無、メール・チャット・電話でのサポート手段、問い合わせ対応のスピードなどを確認しておきましょう。

また、システム連携の柔軟性も見逃せないポイントです。API連携が可能であれば、自社ECや在庫管理システムと決済情報を自動連携でき、業務効率化が図れます。将来的に販売チャネルを拡大する予定がある場合は、多言語・多通貨・複数決済一括管理といった拡張性の高さも加味すると安心です。

まとめ

越境ECにおける決済の整備は、単なる支払い手段の導入にとどまらず、購買率や信頼性、業務効率に直結する戦略要素です。クレジットカードや第三者支払いサービスをはじめとする多様な決済手段に対応することで、ターゲット国のユーザーにとって使いやすい環境を提供でき、カゴ落ちを防ぐことが可能になります。

一方で、手数料や為替、チャージバックといったリスクも伴うため、各サービスの特性や国別事情を正しく把握し、自社に最適な決済パートナーを選ぶことが重要です。

「株式会社そばに」では、越境ECの決済戦略から決済代行サービスの選定支援、運用サポートまでワンストップで対応しております。海外展開を検討されている企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。グローバルな成長を支える最適な決済設計をご提案いたします。

監修者紹介

佐藤 秀平

代表取締役 CEO

大阪府出身。学生起業でAmazon OEM自社ブランド事業を行いながらコンサルタントして活動。
その後新卒で(株)船井総合研究所に入社し、Amazonを中心としたECコンサルティングに従事。
独立し、ECコンサルとシステム開発を行う(株)NOVASTOを設立。
その後「(株)そばに」にEC支援事業を移管。Amazon販売支援歴10年、Amazon プラチナム・パートナー・エージェンシー企業として累計800社のAmazon販売事業者様のサポートし、多数のベストセラー獲得商品、Amazon.co.jp販売事業者ワード受賞企業を複数輩出してきた実績を持つ。
ゴルフパター練習機ブランド「PuttOUT」をM&Aで取得し、売上を1年半で10倍に成長させる。

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600社以上という圧倒的な
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自社でECのシステム開発を行うベンダーでもあり
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