楽天で中古品を販売する方法|出品手順・手数料・規約をセラー向けに完全解説

「在庫回転率を上げたい」「滞留在庫・返品商品を有効活用したい」「中古商材でも安定的に利益を出したい」このような課題を抱えるEC事業者・セラーの方も多いのではないでしょうか。
楽天の中古品販売は、在庫消化・利益確保・商品ライフサイクル延長を同時に実現できる有効な手段です。本記事では、楽天で中古品を販売するセラー向けに、出品方法・手数料・規約・注意点を体系的に解説します。
目次
楽天市場で中古品販売する仕組み

楽天市場では、新品だけでなく中古品の販売も可能です。ただし、個人の不用品販売とは異なり、事業者としての販売体制・法令遵守・規約理解が前提となります。中古品は在庫活用や利益確保に有効な一方、トラブルや規約違反のリスクも高いため、仕組みを正しく理解したうえで運用することが重要です。
楽天市場における「中古品」の定義と扱える販売形態
楽天市場における中古品とは、「一度でも使用された商品」「開封済み商品」「展示品・返品再販品」など、新品として販売できない商品全般を指します。
販売形態としては、「新品同様」「中古」「訳あり(傷・汚れ・欠品あり)」などに分類されますが、表示内容と実際の状態が一致していることが絶対条件です。特に「新品同様」はトラブルになりやすく、未使用に近い状態であっても慎重な表現が求められます。
中古品販売が向いている店舗・商材
中古品販売は、在庫処分を目的とする店舗やリユース・買取を行う事業者と相性が良い分野です。具体的には型落ち家電、ブランド品、カメラ・時計、展示品、返品再販品などが代表例です。新品価格との比較が明確な商材ほど価格優位性を出しやすく、回転率を高めやすい傾向があります。
中古販売を始める前に確認すべき3つの前提(真贋・コンディション管理・返品対応)
中古品販売を始める前に、①真贋確認体制、②コンディション管理基準、③返品・交換対応ルールの3点を必ず整備する必要があります。特に真贋は事業者責任が重く、疑義が生じただけでも大きなリスクとなります。また状態基準と返品対応を明確にすることで、クレームや評価低下を防ぐことができます。
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中古品販売で必須の法務・許認可
楽天市場で中古品を販売する場合、売上や集客以上に重要なのが法務・許認可の整理です。中古品は「知らなかった」では済まされない法令が多く、違反時のリスクも大きくなります。
ここでは古物商許可の要否判断から古物営業法の実務、知的財産権の注意点までセラーが必ず押さえるべき法務ポイントを解説します。
古物商許可が必要になるケース/不要なケース
中古品を仕入れて継続的・反復的に販売する場合、原則として古物商許可が必要です。たとえば、買取品やオークション仕入れ品を楽天市場で販売する行為は、明確に「古物営業」に該当します。
一方、自社で使用していた備品やデモ機を単発で売却するだけであれば、不要となるケースもあります。ただし楽天市場での中古販売は、プラットフォームの性質上「事業活動」と判断されやすく、継続販売を前提とする場合は許可取得を前提に考えるのが安全です。
無許可営業は、出店停止や罰則につながる可能性があるため、早い段階で警察署に相談し、判断を明確にしておくことが重要です。
古物営業法で求められる実務
古物営業法では、許可を取得するだけでなく、日々の運用実務も厳格に求められます。具体的には、仕入れ先の氏名・住所・取引日・商品内容などを記録する「古物台帳」の作成・保管が必要です。買取、オークション、下取りなど仕入れ方法ごとに管理ルールを定め、仕入れ経路を説明できる状態にしておくことが重要です。
また、個人からの買取時には本人確認が必須となるため、身分証確認や記録保存のフローも整備しておく必要があります。これらの管理が不十分だと調査時に違法営業と判断されるリスクがあるため、運用レベルでの徹底が求められます。
商標権・著作権・意匠権の注意点(偽造品だけでなく“疑い”でも危険)
中古品販売では、偽造品そのものだけでなく「権利侵害の疑い」がある商品も大きなリスクになります。特にブランド品やキャラクター商品では、正規品であっても証明が不十分な場合、出品停止や調査対象となるケースがあります。「正規品と断定できない」「仕入れルートが曖昧」な商品は、出品しない判断も重要です。
また、商品画像や説明文でのロゴ使用、メーカー名表記も商標権侵害に該当する可能性があります。中古品は新品以上に疑われやすいため、真贋確認体制と証跡管理を整え「疑われない運用」を意識することが長期的な店舗運営につながります。
楽天市場の規約で押さえるべき中古出品ルール

楽天市場では、中古品を販売する際に新品とは異なる規約・運用ルールが設けられています。中古品はトラブルや誤解が生じやすく、規約違反が店舗全体の評価や運営に影響するケースも少なくありません。
ここでは、特に注意すべき出品制限ジャンルや表記ルール、違反時の影響について整理します。
出品禁止/制限されやすいジャンル
中古品で特に注意が必要なのは、医薬品・医療機器、チケット類、金券、危険物、衛生用品などのジャンルです。これらは新品であっても出品制限が設けられていることが多く、中古品では原則出品不可、もしくは厳しい条件が課されるケースが一般的です。
たとえば、開封済みの衛生用品や使用履歴のある医療関連商品は、安全性の観点から禁止されることがあります。ジャンルによっては個別ガイドラインが定められているため、「中古だから売れそう」という判断だけで出品せず、事前に楽天の規約やヘルプを確認することが重要です。
中古で違反になりやすい表現
中古品出品で特に違反やクレームにつながりやすいのが、商品状態に関する表現です。「新品同様」「完全動作品」「フルセット」といった表記は、購入者の期待値を過度に上げやすく、実物とのわずかな差でも問題になりがちです。
動作確認については「通電確認のみ」「基本動作確認済み」など、確認範囲を限定して記載することが重要です。また、付属品についても「写真に写っているものが全て」と明記するなど、誤解を防ぐ書き方を徹底しましょう。
違反時のリスク
楽天市場で規約違反が確認された場合、対象商品の削除だけでなく、店舗評価の低下や改善要請が行われることがあります。是正が不十分な場合や違反が繰り返されると、検索露出の低下、販売制限、最悪の場合は出店停止に至るケースもあります。
是正依頼を受けた際は、該当箇所の修正だけでなく、再発防止策を含めて対応することが重要です。規約遵守は単なるリスク回避ではなく、長期的に安定した店舗運営を行うための前提条件といえます。
中古品を売るための出品準備チェックリスト
中古品販売では、出品前の準備精度が売上だけでなく、クレームや返品の発生率にも大きく影響します。場当たり的な対応ではトラブルを防ぐことはできません。ここでは、仕入れ段階から検品、状態ランク設定まで、安定した運用に欠かせない出品準備のポイントを整理します。
仕入れルート別の注意点
中古品は仕入れルートごとにリスクの性質が異なります。買取品は真贋確認が最重要となり、オークション仕入れ品は出品者ごとの状態差や説明不足に注意が必要です。下取り品や返品再販品では、使用履歴や付属品欠品の有無を正確に把握することが求められます。これらを一律に扱うのではなく、ルート別にチェック項目を分け、基準を明確にして管理することが重要です。仕入れ時点での確認精度が低いと、出品後のクレームや返品につながるため、仕入れ段階から「売れる状態」を意識した運用が求められます。
検品フローの作り方
中古品販売では、検品フローの整備がトラブル防止の要となります。外観の傷や汚れ、動作確認、付属品の有無、シリアル番号の確認、真贋チェックを必須項目とし、誰が検品しても同じ結果になる仕組みを作ることが重要です。検品内容は記録として残し、写真やチェックシートと紐づけて管理すると、万が一のクレームやすり替え対応時の証跡として活用できます。検品を「作業」ではなく「リスク管理」と捉えることが、安定した中古販売につながります。
コンディションランクの統一
中古品の状態評価は、購入者との認識ズレが最も起こりやすいポイントです。そのため、S・A・B・Cといったコンディションランクを店舗内で明文化し、基準を統一することが重要です。たとえば「Aランク=使用感はあるが目立つ傷なし」など、具体的な状態例を定義しておくことで、検品者による評価差を防げます。基準が曖昧なまま運用すると、表記と実物のズレが生じ、クレームや評価低下の原因になります。統一基準は、信頼性の高い店舗運営の土台となります。
手数料・コストを踏まえた利益設計
中古品販売では、売上金額だけを見て判断すると、実際には利益が残らないケースが少なくありません。重要なのは「いくら売れたか」ではなく「最終的にいくら残るか」という視点です。ここでは、楽天市場特有のコスト構造を整理し、中古販売で利益を確保するための考え方を解説します。
楽天市場のコスト構造を整理
楽天市場では、販売手数料だけでなく、決済手数料、システム利用料、場合によっては広告費など、複数のコストが発生します。中古品は新品と比べて単価が低くなりやすいため、これらの固定的・変動的コストが利益に与える影響が大きくなります。
表面的な粗利率だけで判断せず、「販売価格から最終的に差し引かれる金額」を把握することが重要です。特に広告を併用する場合は、1商品あたりの実質利益を必ず試算し、採算が取れるかを事前に確認する必要があります。
中古で見落としがちな原価
中古品販売では、仕入れ原価以外のコストが軽視されがちです。実際には、検品にかかる時間、クリーニング作業、再梱包の資材費、購入者からの問い合わせ対応など、多くの人件費が発生しています。
これらを原価に含めずに価格設定を行うと、売れているのに利益が出ない状態に陥りやすくなります。中古品は「手間がかかる商材」であることを前提に、作業工数を可視化し、1商品あたりの実質原価として計算に含めることが重要です。
利益が残る価格の決め方(最低利益ライン/値付けの型)
価格設定の基本は、最低限確保すべき利益額を先に決め、そこから逆算することです。すべての商品で高い利益率を狙うのではなく、回転率を重視する商品と、利益を確保する商品を意図的に分けて考えると、全体の収益が安定します。
また、相場に合わせて価格を下げすぎると、作業コストを回収できなくなるため注意が必要です。「この価格以下では売らない」という最低ラインを設定することが、長期的な中古販売の安定につながります。
赤字を防ぐ「返品・保証コスト」の織り込み方
中古品では、一定割合で返品や初期不良対応が発生することを前提に考える必要があります。返品時の送料負担や再検品、再出品の工数は、想像以上に利益を圧迫します。そのため、過去の返品率やトラブル発生率をもとに、リスクコストを価格に織り込むことが重要です。
また、保証内容や対応範囲を限定的に記載することで、想定外の負担を防ぐことができます。リスクを見込んだ価格設計が、赤字回避の鍵となります。
中古品販売のトラブルを減らす運用設計

中古品販売では、一定数のトラブル発生を前提とした運用設計が不可欠です。感覚的な対応や場当たり的な判断では、クレームや評価低下につながります。ここでは、返品・交換対応、商品表記、高額商品の管理など、トラブルを最小限に抑えるための具体的な運用ポイントを解説します。
返品・交換ポリシーの作り方
中古品は原則として返品不可とするケースが多いものの、商品説明が不十分な場合は返品対応を求められることがあります。そのため、返品可否だけでなく、対応条件や範囲を明確に記載することが重要です。たとえば「商品説明と著しく異なる場合のみ対応」「動作不良は到着後◯日以内」など、具体的に定義しましょう。ポリシーを曖昧にすると、購入者ごとに対応がブレてトラブルの原因になります。事前にルールを明文化し、全商品で統一することが安定運用につながります。
購入者クレームを減らす表記
中古品では、購入者との認識差がクレームの最大要因になります。傷や汚れ、使用感、におい、擦れ、動作の癖など、ネガティブな情報は隠さず先に記載することが重要です。「気になる方は購入をお控えください」といった一文を添えることで、期待値を適切に調整できます。ポジティブ情報だけを強調すると、実物との差が生じやすくなります。結果として、正直で具体的な表記がクレーム削減と評価維持につながります。
高額商品のリスク対策
高額な中古品では、すり替えや配送事故、真贋に関する問い合わせなど、リスクが一段と高まります。出品前にシリアル番号や商品の状態を写真・動画で記録し、発送直前の状態も残しておくことが重要です。配送は必ず追跡・補償付きの方法を選び、受領証跡が残る形で行いましょう。また、真贋に関する質問には証拠をもとに冷静に対応できる体制を整えることで、トラブルの長期化を防げます。
よくある質問(FAQ)セラー向け
楽天市場で中古品販売を行うセラーから、特によく寄せられる疑問をQ&A形式で整理しました。古物商許可の判断基準や表記ルール、付属品・傷の記載粒度、返品対応など、実務で迷いやすいポイントを中心に解説します。
古物商許可はいつ必要?どこまでが「不用品」扱い?
原則として、仕入れた中古品を継続的・反復的に販売する場合は古物商許可が必要です。一方、自社で使用していた備品やデモ機を単発で売却する場合は「不用品処分」として不要となるケースもあります。ただし楽天市場では、販売行為そのものが事業活動とみなされやすく、販売頻度や数量によっては不用品扱いにならない可能性があります。判断に迷う場合は、「仕入れて売っているか」「継続的か」を基準に考え、早めに許可を取得しておく方がリスクは低くなります。
「新品同様」「動作確認済み」「保証あり」はどこまで書ける?
これらの表記は、実態と少しでもズレがあると規約違反やクレームにつながりやすいため注意が必要です。「新品同様」は未使用に近い状態であることが前提となり、使用感がある場合は避けるべき表現です。「動作確認済み」は、確認した範囲を具体的に記載することが重要で、「全機能保証」といった曖昧な表現は控えましょう。「保証あり」の場合も、保証期間や対象範囲を明確に示し、誤解を招かない表記を心がける必要があります。
付属品欠品や傷はどの粒度で書けばトラブルになりにくい?
付属品や傷の記載は、「購入者が判断できるレベル」まで具体的に書くことが重要です。付属品は「〇〇欠品」「写真に写っているものが全て」など明確に記載し、後出しにならないようにします。傷や汚れについては、「小傷あり」ではなく、場所や程度が分かる表現と写真を併用すると効果的です。細かく書きすぎることよりも、書かずにトラブルになる方がリスクは高いため、気になる点はすべて事前に開示しましょう。
返品が来たときの基本対応は?(すり替え疑い含む)
返品連絡があった場合は、まず感情的にならず、事実確認を優先することが重要です。商品説明との相違があるか、返品条件に該当するかを確認し、必要に応じて写真提出を求めます。すり替えが疑われる場合に備え、発送前の写真やシリアル記録が証拠として役立ちます。対応方針は店舗内で統一し、ケースごとに判断を変えないことがトラブル拡大防止につながります。ルールに沿った冷静な対応が、評価低下を防ぐ鍵となります。
楽天で中古品の出品を検討している方は、一度「そばに」へご相談を

楽天市場への中古出品は「ルール理解」と商品設計が成功の分かれ目
楽天市場への中古出品では、新品以上にガイドラインや表記ルールへの配慮が求められます。状態表記や付属品の記載、動作確認の範囲などが曖昧なまま出品すると、差し戻しやトラブルにつながるケースも少なくありません。
株式会社そばにでは楽天の中古出品ルールを踏まえたうえで、カテゴリ設定・商品名・商品説明文・画像構成までを一貫してサポートします。購入者に誤解を与えにくく、安心して選ばれる商品ページづくりを重視しています。
出品後を見据えた運用設計で中古品でも売上を伸ばす
中古品は「出して終わり」になりがちですが、価格調整や情報の見せ方次第で成果は大きく変わります。そばにでは、販売状況やユーザー反応をもとにした商品ページ改善、楽天SEOを意識した情報設計の見直し、必要に応じた広告運用との連動まで対応しています。
単発の中古出品ではなく、継続的に売上を積み上げる運用体制の構築を支援します。楽天での中古品販売を安心して進めたい方は、ぜひ一度そばにへご相談ください。
まとめ:楽天市場で中古を事業として成立させるポイント
楽天市場で中古品販売を事業として成功させるには、売れる商品を出品するだけでなく、法務・規約・運用を含めた全体設計が欠かせません。古物商許可の取得や真贋管理、コンディション基準の統一、正確な商品表記といった基本を徹底することで、トラブルや評価低下のリスクを大きく減らせます。
また、手数料や作業工数、返品リスクまで含めた利益設計を行うことが、安定した収益確保につながります。新品販売と中古販売を戦略的に組み合わせ、長期的に信頼される店舗運営を目指しましょう。
株式会社そばには10年以上にわたり楽天やAmazonなどEC運用を支援してきた実績があり、出品から広告運用までをトータルでサポートしています。EC運用でのお困りごとは、ぜひ株式会社そばにへご相談ください。
大阪府出身。学生起業でAmazon OEM自社ブランド事業を行いながらコンサルタントして活動。
その後新卒で(株)船井総合研究所に入社し、Amazonを中心としたECコンサルティングに従事。
独立し、ECコンサルとシステム開発を行う(株)NOVASTOを設立。
その後「(株)そばに」にEC支援事業を移管。Amazon販売支援歴10年、Amazon プラチナム・パートナー・エージェンシー企業として累計800社のAmazon販売事業者様のサポートし、多数のベストセラー獲得商品、Amazon.co.jp販売事業者ワード受賞企業を複数輩出してきた実績を持つ。
ゴルフパター練習機ブランド「PuttOUT」をM&Aで取得し、売上を1年半で10倍に成長させる。
















