株式会社 ヤマサン(以下ヤマサン)は、1995年に京都府宇治市にて設立された、宇治茶とこだわり食品の専門店です。実店舗にとどまらず、ECサイトを活用しながら国内外向けにB to C(海外はB to Bも含む)で幅広く日本の食を届けています。
訪問販売から始まり、店頭やコールセンターを通じた営業販売を行ってきたというヤマサンですが、コロナ禍をきっかけに営業スタイルを見直し、現在はECサイトによる売上が月商約9000万円(2024年7月現在)、と全社の60%以上を占めるようになったといいます。
今回は、ECサイトの拡大を先導してきた取締役の大秦氏に話を伺います。
「コロナ禍で大打撃を受けた実店舗の売上」と「働き方改革の実現」の両方を解決できる手段―それがECサイトだった!
お茶処として知られる宇治市で誕生したヤマサンとそばにとの出会いは、2019年秋に大阪のAmazon本社で開催されたセミナーでした。奇しくもコロナ禍直前のタイミングでしたが、それが功を奏したと大秦氏は話します。
「私たちがECサイトに着目したのは、コロナ禍前です。当時も一応、ECサイトへの出品はしていたものの、売上は会社全体の5%前後といった規模でした。
コロナ禍に入り、ECサイトへの注目は非常に高まりましたが、その一方で参入障壁が上がったのも事実です。コロナ禍に入ってから同じ感覚で始めていたら、今の結果は得られていなかったと思います。」
ただ、そばにのセミナー参加当時、Amazonに関しては「登録はしているが、ほとんど使っていない」状態だったといいます。
「実は、2015年から海外のAmazonも始めていたんです。登録しているだけ、という感覚でしたが、それでも多少は動いていました。
セミナーに参加した直後にコロナ禍となり、実店舗の売上も急激に落ちたため、これはもう、今伸ばせる可能性があるところに取り組まないといけない、と感じました。」
さらにもう一点、大秦氏を動かしたヤマサンならではの事情がありました。
「そもそも当社は、電話してナンボ、といった「稼働日=売上」というビジネススタイルでしたので、週休2日ではなかったんです。
これからの働き方を考えると、休みも増やしたい。それで、ECに賭けました。」
ECサイトの売上は月商約9000万円に!担当者4名で売上比率は5%→66%にまで拡大。
本格参入前は会社全体の5%ほどであったECサイトの売上ですが、現在は…
「EC全体の売上は月商約9000万円強、会社全体の66%まで伸びました。内訳は、海外が74%、国内が26%です。」
当初はアメリカのみであった海外販路も、「とりあえずチャレンジしてみよう」を重ねた結果、現在はカナダ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、シンガポールなどが加わっています。これは、Amazon出店者のなかでもトップクラスの販路数です。
では、現状の月商約9000万円という売上をつくり出すための人員はというと、なんと、国内外合わせたAmazon担当者は4名とのこと。
「うち2名は、出荷業務だけを専任でやっています。つまり、彼ら4名は、現在の当社事業部のなかでも飛び抜けて1人あたりの生産性が高い社員たちということになります(笑)」
さらに、ECサイトの売上が上がったことで、社員の休みを抑えて稼働し続ける必要がなくなり、働き方の改善にもつながりました。
「これだけいろいろなコンサルタントや代行サービスが登場している今、自社だけですべてを解決する時代ではなくなってきていると思います。逆に、「生産性」や「働きやすさ」を求める場合、そういったサービスをうまく活用して自社社員にはやるべきことに集中させる、というのがすごく大事な視点となるのではないでしょうか。
【そばに依頼後に得られた成果】 定量:
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コンサルタントとは「さまざま企業の情報・ノウハウが貯まっているところ」 素直に・愚直に聞いて、わからないことはたずねるーこれで伸びないわけがない!
ECサイトへの本格参入で課題となったポイントを大秦氏にたずねたところ、意外なことに、言語的なところにはあまり苦労を感じなかったとのこと。ではなにが問題になったかというと…
「在庫管理ですね。売れてきたときに在庫切れを起こさないように送るという作業。ここが大変でした。
うまくいけば1週間ほどで送れるものも、トラブルがあると2~3週間かかってしまうことも。さらに、日本と違ってさまざまな出荷書類が必要になります。
そういったところまで含めて、なかなか時間と労力がいる部分です。
また、Amazonは「検索結果」が売上にダイレクトに影響します。新商品の登場やランキングの変動の影響が如実です。
これは、ポジティブにいえば「下克上を起こせる」わけですが、一方では、いつ追い越されてもおかしくないということ。
ですので、日々攻めと守りのバランスを図っています。」
ただ、そばにのコンサルタントの助言によってECサイトに対する苦手意識は薄れたといいます。
「これまでは「ECサイトってなんだかうまくいかない」という意識のほうが強かったんです。そこに“勝ち筋”を示してもらえた。
コンサルタントにいわれたことを、素直に、愚直に繰り返した結果が今だと思っています。」
大秦氏にとってコンサルタントとは、「さまざまな企業の情報やアイデアが貯まっている場所だといいます。
「本当に、「素直にいわれたことを聞く」これが一番のポイントだと思っています。
いわれたことをやってみないと、課題・問題が見えてこない。課題がみえなければ、コンサルタントから得るべき情報がわからないんです。
次の道を見出すためには、誰かに一方的に「教えてもらう」のではなく、こちらから聞きに行って、相手が持っているものを引き出さなければいけません。
そのあたりがうまく回り出すと、売上も上がっていく。これかま、そばにとの3年間のお付き合いを通して実感したことです。
【この記事のポイント】 課題:
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