第一石鹸株式会社(以下、第一石鹸)は、1953年創業、70年以上の歴史を持つ老舗の石鹸、洗剤メーカーです。「人と地球にやさしい生活文化の創造」を理念に掲げ、衣料用洗剤や柔軟剤、住居用洗剤など、日々の暮らしに寄り添う製品を提供し続けてきました。
これまでBtoBtoCの流通チャネルを中心に成長してきた同社は、新たな販路としてEC市場に乗り出しました。しかし、自社だけの運用では成果が伸び悩み、2024年9月にAmazon専門のコンサルティング会社「そばに」とのパートナーシップを開始。わずか半年後には、Amazonでの売上が約4倍に拡大するなど、目覚ましい成果を上げました。
今回は、EC戦略の中核を担った中村氏(社長補佐 兼 Web事業推進室 室長 他 ※2025年3月まで)と鈴木氏(Web事業推進室)に、そばにとの出会いから伴走の軌跡、そしてこれからの展望について詳しくお話を伺いました。
EC市場への挑戦と立ちはだかった壁
第一石鹸では長年、卸・小売業者を通じたBtoBtoCモデルを事業の主軸としてきました。しかし、大手メーカーが市場を席巻する中、新たな販路の開拓が課題であったと中村氏は語ります。
「弊社のような中小企業にとって、ドラッグストアなどの棚を確保することは非常に困難です。大手メーカーとの交渉力の差を痛感する中で、いかに自社ブランドを消費者の皆様に直接お届けできるかが大きな課題でした。その打開策として、ECチャネルの強化を決断しました。」
2023年6月には公式オンラインサイトを開設し、Web販売への本格的な取り組みをスタートさせました。しかし、自社サイト単独での集客には限界があったといいます。
「自社サイトを立ち上げたものの、第一石鹸としての認知度や集客力を考えると、コンバージョンに繋げるハードルは高く、スケールアップは難しいと感じていました。そこで、より集客力のあるAmazonに注力する方針に切り替えたんです。」(中村氏)
「この人となら」– データ、ロジック、そして熱意がそばにを選んだ決め手
Amazonへの本格参入に踏み出した第一石鹸でしたが、運用ノウハウや社内リソースの不足が大きな壁となっていました。そんなときに出会ったのが、Amazon専門のコンサルティング会社「そばに」だったと、中村氏は振り返ります。
「信頼できるパートナーを探す中で、複数のコンサル会社を比較検討しました。その中で最終的にそばにさんを選んだ理由は、プレゼンテーションの分かりやすさや豊富な実績、明瞭な料金体系などいくつかありますが、何より担当者の人柄が決め手になりました。『この方となら一緒に前に進める』と、自然に思えたんです。」
当時、他社からの積極的な営業に戸惑いも感じていたという鈴木氏も、そばにのスタンスに信頼感を覚えたと語ります。
「他社からは営業のお電話を頻繁にいただいたり、熱心にアプローチを受けたりしましたが、そばにさんは『ご自身のペースでご検討ください』というスタンスでした。それが、かえって信頼につながったように思います。数字に基づいた将来のビジョンもロジカルかつ明確で、純粋に『この方たちと一緒に仕事がしたい』と感じました。」
データに基づいた戦略と二人三脚の実行力 – Amazon売上4倍増への道のり
第一石鹸とそばにの取り組みは、2024年9月から本格的にスタートしました。初期段階では、過去データの分析に基づき戦略を練り上げ、基盤を整備することに注力。同時に、年末の大型商戦も見据えた準備を着実に進めていったといいます。
「これまで私たちは、Amazonに関して断片的な知識しか持ち合わせていませんでした。しかし、そばにさんはデータに基づいて課題を分析し、具体的なアクションプランを提示してくれました。そのおかげで、取り組むべきことの優先順位が明確になり、格段に動きやすくなりましたね。」(中村氏)
特に注力したのは、当時まだ売上構成比が7%程度だった自動投入洗濯機用洗剤「ノヴァージュ」。キーワードの検索需要や市場の特性を分析した結果、大きな成長ポテンシャルを秘めていると判断し、戦略的に施策を集中させることにしたとのことです。
「一つひとつのタスクを丁寧に整理し、データに基づいて的確に導いていただきました。そばにさんの力強い伴走があったからこそ、私たち自身も手応えを感じながら、前向きに取り組むことができたと実感しています」(中村氏)
【そばにとの連携で進めた主な施策】
項目 |
内容 |
商品ページの最適化(SEO・CVR改善) |
・売れ筋商品を中心に、商品説明文や画像を改善 ・成分・機能だけでなく、「使用シーン」を想起させる画像に刷新 ・そばにの指示書をもとに、第一石鹸・鈴木氏が高品質な画像を制作 |
販促施策 |
・クーポンやセール(プライム感謝祭、ブラックフライデー、年末商戦など)を活用 ・Amazon広告では「ノヴァージュ」への集中的な投資で認知拡大と売上最大化を図る戦略を採用 |
レビュー強化策 |
・Amazon Vineプログラムを活用し、信頼性の高いレビューを増加 ・レビューが分散しないよう、商品バリエーション構成を見直し・整理 |
運用体制・その他の取り組み |
・大型セール時に在庫切れを防ぐため、納品計画を策定し欠品リスクを事前に回避 ・卸売業者の販売ページの情報不足を是正するよう調整 ・施策の優先順位付け・進捗管理を密に行い、土日も含めた連携体制を構築。 |
数字だけではない確かな成果 –意識改革と組織力の向上へ
約半年間にわたるそばにとの二人三脚の取り組みは、定量・定性の両面で着実な成果となって現れ始めました。
「定量面では、Amazonでの売上が導入前と比較して約4倍に伸びました。支援開始前は月商が50万円前後でしたが、ブラックフライデーを経て月商200万円を超え、2025年3月には300万円を突破しました。社内でもEC事業への注目度が格段に高まったと感じています」(中村氏)
広告運用に関しても、主力商品「ノヴァージュ」へ集中的に投資する戦略が奏功し、広告費対売上比率は10%以下を維持したまま、売上を効率的に拡大に成功。さらには、「ノヴァージュ」という商品名の指名検索ボリュームも増加傾向にあるといいます。
「ノヴァージュというキーワードでの検索ボリュームも徐々に増えてきており、ブランドとしての認知も広がっている実感があります。以前はほとんど検索されていなかったキーワードでしたが、今では月間1,000件規模にまで成長しました。」(そばに担当)
成果は数字だけにとどまらず、定性的な面でも手応えを感じていると中村氏は語ります。
「担当の鈴木を中心に、WebやAmazonに関する知識やスキルが飛躍的に向上しています。その影響もあって、経営陣のEC事業への期待も高まってきました。『Webでもっと事業を伸ばせるのではないか』という前向きな空気が社内に広がってきたのは、非常に大きな成果だと感じています。」
そばにとの連携は、単なる業務委託ではなく、社内にノウハウを蓄積し、将来的な自走化を見据えたパートナーシップであると鈴木氏は強調します。
「そばにさんに全てお任せして売上が伸びたときに、『なぜ売れているのか分からない』という状態は避けたかったんです。今回、そばにさんに施策の優先順位をつけていただき、期限を設定して二人三脚で進める中で、私自身はもちろん、会社全体のレベルアップにも繋がったと感じています。EC事業の土台づくりという意味でも、そばにさんとの連携は大きな意義を持っています。」
この点について、そばに担当者も次のように話します。
「社内にノウハウが蓄積されていけば、将来的には内製化も十分可能だと考えています。第一石鹸様自身で安定的に運用できる体制を整えていただけるよう、ノウハウの共有を意識しながら、引き続き丁寧に伴走していきたいと考えています。」
【そばに依頼後の成果】
定量
定性
|
EC売上1億円達成に向け、さらなる高みへ
そばにとの取り組みを通じて中村氏が強く実感したのは、KPIの設定からデータ分析、施策の実行、広告運用に至るまで、Amazonで成果を出すために必要な要素を一貫して支援してくれる「トータルパッケージ」としての価値でした。
「これからWebでの販売、特にAmazonにチャレンジしたいと考えている企業には、自信を持って『そばにさんに任せておけば間違いない』とおすすめしたいです。私たちにとっては、まさにAmazon成功への近道でした。成果を出すためのノウハウを体系的に学びながら、施策の実行までしっかり伴走してもらえる。これほど効率的で心強い支援は、他ではなかなか得られないと思います。」(中村氏)
鈴木氏も、次のように話します。
「Amazon SEOのような専門性の高い領域も丁寧にサポートしていただけますし、単なる運用代行にとどまらず、ECで勝つためのビジネスモデル全体についてのアドバイスをいただける点が非常にありがたかったです。広告運用も含めて『丸ごとお願いできる』ので、Amazonのことを全く知らない企業でも安心して任せられると思います。」
そばにとのパートナーシップによって確かな手応えを掴んだ第一石鹸が見据えるのは、EC事業での年商1億円という明確な成長目標です。その達成に向けて、今後もそばにとの連携をさらに強化していく方針だといいます。
「ここから、現在の年商に対して約3倍を目指し、さらに飛躍させたいと考えています。特に主力商品のポテンシャルを最大限に引き出せれば、成長余地はまだまだ大きい。競合の動きなども分析しながら、最短距離で目標を達成できるよう、今後もそばにさんのご支援に期待しています」(中村氏)
課題 |
そばにの取り組み |
効果 |
Amazon上の戦略・運用ノウハウが不足 |
・過去の販売データを分析し、勝ち筋商品の選定と戦略設計 ・商品ごとの施策優先順位づけ ・SEO設計と画像改善のための指示書作成 |
・ノヴァージュが主力商品として定着 ・検索流入やCVRが改善し、月商が約4倍に増加 |
商品ページの訴求力不足 |
・「使用シーン」を想起させる画像コンセプトを提案 ・構成を改善する画像指示書を作成し、実制作をサポート |
・ユーザー目線で訴求力のあるページへ刷新 ・Amazon内での商品評価・売上が向上 |
レビュー・販促・広告の活用不足 |
・Vineレビューの活用とバリエーション整理 ・セール/クーポン施策の実行 ・広告戦略の設計と運用サポート |
・レビュー件数増加&信頼性向上 ・セール時に売上急増 ・広告費対売上比率10%以下を維持 |
在庫管理・納品計画の未整備 |
・セール・販促に合わせた納品計画の立案支援 ・卸業者との連携による商品情報整備 |
・大型セール時の欠品を回避 ・販売機会の最大化とページ整備が実現 |
社内にEC・Amazon運用の知見が蓄積されていなかった |
・施策の背景とロジックを丁寧に共有 ・鈴木氏による実務実行を前提とした“内製支援型”サポート |
・担当者のスキルが飛躍的に向上 ・運用ノウハウが社内に定着し、自走体制に近づいた
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